巻頭特集 -旬の話題をお届け-

2013.06.01 [第48号]

いま話題の低価格3Dプリンタ、その特長と注意点


「3Dプリンタ」がいま大きな注目を集めています。
3Dプリンタとはその名の通り、立体的な造形物をつくることのできるデバイスです。
ただ、実際のところどんな製品が発売されていて、
どのように使えるのかをご存知でない方も多いのではないでしょうか。
今回は、いま発売されている主な3Dプリンタを紹介しつつ、
これまでの歴史やメリット、デメリットなどを解説します。


3Dプリンタの歴史とブームの始まり

3Dプリンタの歴史は意外と古く、実用化は1980年代でした。
しかし、価格が数百万円以上と高価だったことから、業務用や先端研究用など用途は限られていました。
ところが、2009年にアメリカで10万円台クラスの3Dプリンタが発売され、
個人でも手が届くようになりました。
その後は低価格の3Dプリンタが続々と発売され、
日本でもここ1~2年で主にアマチュアクリエーターや研究者、
企業の先鋭的なユーザーが3Dプリンタを入手し始めていました。
そして、3Dプリンタが取り上げられた書籍
「MAKERS―21世紀の産業革命が始まる」(クリス・アンダーソン著、NHK出版)が
昨年秋に発売されベストセラーとなったことで、3Dプリンタは一気に市民権を得ました。
その後はメディアでたびたび取り上げられるようになり、いまのような注目を集めるに至っています。


低価格製品のほとんどが米国メーカー製

現在発売されている低価格の3Dプリンタは、そのほとんどが米国メーカー製で、
日本での流通は最近まで限定されていました(テガラでも多くの製品を取り扱っています)。
ただ、最近は多くの企業が代理店や販売店として3Dプリンタの取り扱いをスタートさせています。
なお、日本製の低価格3Dプリンタとしては「Blade-1」という製品が存在しています。


複雑な造形も可能、仕上がり精度は...

「プリンタ」と名づけられてはいますが、
その原理は紙に印刷する「2D」プリンタとはまるで異なっています。
低価格の3Dプリンタは「熱溶解積層法」と呼ばれる造形方式が主に採用されています。
ABSやPLAといった熱可塑性樹脂を高温で溶かし、少しずつ積み重ねていくことで造形を行ないます。
一般的な市販の工業製品と比べると仕上がりは荒いですが、 驚くほど複雑な造形を行なうこともできます。
なお、3Dプリンタで利用する樹脂は、フィラメントと呼ばれる、
樹脂を糸状に細長くしてリールに巻いたものが一般的に使われています。


3Dプリンタを利用するには3Dデータが必要

3Dプリンタで造形を行なうには、
2Dプリンタで印刷するのにデータが必要なのと同じように、3Dデータを用意する必要があります。
3Dデータをつくるには3Dモデリングソフトや3D CADなどでモデリングを行なう必要があり、
ソフトウェアを操る技術が求められます。3Dプリンタで手軽に立体造形が出来るようになった...
といっても、データをつくるための敷居はまだ高いです
(ソフト自体はフリーから有償までさまざま)。
3Dプリンタを操作するのにはとくに専門技術は必要ありませんが、
利用方法や環境によって、動作トラブルや造形不良が発生しやすく、
安定した出力を得るためにはさまざまな「コツ」や「ノウハウ」を得る必要があります。


代表的な低価格3Dプリンタ5製品

3D_1.jpg

MakerBot Replicator...米MarkerBot 社

もっとも知名度のある存在。
「Replicator」「Replicator 2」「Replicator 2X」の3機種を販売。
「Replicator」は2色造形に対応(Dualモデル)。
「2」では解像度が0.1mmとなり、造形可能サイズも285x153x155(mm)に拡大。
「2X」では「2」より造形可能サイズはやや小さくなるも、
高解像度はそのままで2色造形に対応した。


3D_3.jpg

Solidoodle...米Solidoodle 社

圧倒的な低価格を誇る3Dプリンタ。最も初心者向けという声も。
現在は「2nd Generation」と「3rd Generation」の2機種を販売。
解像度は0.35mmと大きめ。
「2nd」は造形可能サイズが152x152x152(mm)と
小さめながら、よりコンパクトかつ低価格。
「3rd」は造形可能サイズが203x203x203(mm)に拡大。


3D_4.jpg

MakerGear M2...米MakerGear 社

造形可能サイズは203 x 254 x 203(mm)とそこそこ大きめ。
解像度は通常0.1~0.3mmとされているが、
0.02mm厚で造形できたという未確認情報も。
自分で組み立てが出来るキットも販売されている。


3D_2.jpg

Cube...米3D Systems 社

3Dプリンタの業界大手が個人向け3Dプリンタとして発売した製品。
「Cube」は低価格かつ筐体がコンパクトでデザインも洗練。
造形可能サイズは小さめの140x140x140(mm)。
上位機種の「CubeX」は造形可能サイズが275x265x240(mm)と大きく、3Dデータ作成ソフトも付属。
また、「CubeX Duo」や「CubeX Trio」ではそれぞれ2色、3色での造形ができる。


3D_5.jpg

Blade-1...株式会社ホットプロシード

希少な日本メーカー製の3Dプリンタ。
当然ながらマニュアルは日本語で、日本語でのサポートが受けられるため安心感は高い。
解像度は0.2mmとそこそこで、造形可能サイズは100x100x100(mm)。
静粛性が高いのも特長。直販価格は税別13万円。


文:鈴木良歩

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