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巻頭特集 -旬の話題をお届け-

2013.02.01 [第44号]

緊急経済対策...科学技術関係予算はどう使われるか

12月に誕生した安倍晋三政権により、政策の柱の一つである、
平成24年度補正予算を利用した緊急経済対策の準備が進んでいます。
科学技術研究分野にも多額の予算が配分されるといわれてきましたが、
しだいにその全容が明らかになってきました。


科学技術関係予算は総額で9,949億円

研究者・開発者の活動に直結する科学技術分野には、
総額で約9,949億円が計上されています。(文部科学省だけで7,210億円)
なお、平成24年度当初予算での科学技術関係予算は約3兆7,000億円ですので、
平成24年度の総額では約4兆7,000億円ということになります。
なお、9,949億円のうち科学技術振興費は4,408億円を占めています。
気になるのは科学技術分野に割り当てられる9,949億円がどのように使われるか、
ですが、平成25年1月に内閣府より発表された資料では以下のように記載されています。
(抜粋)


【総務省】
・ビッグデータ時代に対応するネットワーク技術基盤の確立等 ...52億円
・強固なワイヤレスブロードバンドを実現する電波有効利用の推進 ...37億円


【文部科学省】
 ※内訳の一例
・産学協同の研究開発促進のための大学及び研究開発法人に対する出資 ...1,800億円
- 産学連携による実用化研究開発の推進(大学に対する出資事業) (1,200億円)
 - 産学官による実用化促進のための研究開発支援(JSTに対する出資事業) (600億円)

・基礎研究力強化と世界最高水準の研究拠点育成 ...101億円

・研究力を底上げする科学技術基盤の充実・強化 ...400億円
 - イノベーション創出の基盤となる光・量子ビーム施設の整備・高度化 (189億円)
 - イノベーション創出に向けて産学官が利用できる共用施設・設備群の形成 (90億円)
 -「 京」を中核とするHPCI等の研究環境の整備(84億円)

・最先端の研究基盤の整備による大学の研究力強化 ...462億円

・医療・創薬分野のイノベーション創出 ...323億円
 - iPS細胞等を用いた再生医療を実現するための基盤整備 (214億円)
 
・ITER(国際熱核融合実験炉)等の次世代エネルギー技術開発 ...393億円
 - ITER(国際熱核融合実験炉)計画の実施等 (166億円)
 -「 日本の強み」を活かした部素材開発の強化 (165億円)

・宇宙・海洋フロンティアの更なる開拓 ...599億円
 - 陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)の開発等の加速 (229億円)
 - 海洋資源調査研究能力の抜本的強化 (122億円)
 - 海洋立国のための科学技術基盤の強化 (213億円)

・科学技術イノベーションによる地域活性化と国際競争力の強化 ...630億円
 - 地域資源等を活用した産学連携による国際科学イノベーション拠点整備事業 (500億円)
 - 地域イノベーションを支える国立大学等の基盤的設備の整備 (130億円)

【経済産業省】

・放射性物質研究拠点施設等整備事業 ...850億円
・戦略産業の研究開発拠点等の整備(独法施設整備費補助金) ...350億円
・ベンチャー企業への実用化助成事業 ...100億円
・小型地球観測衛星網の研究開発 ...89億円
・燃料電池自動車のための水素供給インフラ用大型水素容器の試験設備整備事業 ...29億円
・高温超電導直流送電システムの実証研究 ...25億円
・地域新産業創出基盤強化事業 ...20億円
・海底熱水鉱床採掘技術開発等調査事業 ...16億円
・太陽光発電無線送受電技術の研究開発 ...10億円
・iPS細胞等自動培養装置開発加速事業 ...6億円
・グローバル認証基盤整備事業 ...5億円
・レアメタル・レアアース等の代替材料・高純度化技術開発 ...3億円


産学連携に多額の出資。iPS細胞などにも

予算割り当ての内訳を見ていくと、産学協同の研究開発促進のための出資強化や、
研究開発のための基盤となる施設の整備、そして特定の研究開発分野への支援...など、
さまざまな内容への出資が盛り込まれています。
とくに、「産学協同の研究開発促進のための大学及び研究開発法人に対する出資」には
1,800億円という多額の予算が割り当てられています。産学協同研究を活発化することで、
民間企業も研究開発費や成果などの形で予算の恩恵を受けられるということが考えられます。
また、個別の分野では「iPS細胞等を用いた再生医療を実現するための基盤整備」に
214億円が割り当てられており、iPS細胞を用いた再生医療や創薬の研究を
国としても強力に推進する...という意図が見て取れます。


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iPS細胞研究を強力に推進するため2010年に完成した、
京都大学 iPS細胞研究所「CiRA(サイラ)」。
先日ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授が所長を務める。




補正予算はその性格上、継続的な支援には向いていないため、
予算が割り当てられるのはどうしても施設や設備...いわゆる「ハコモノ」の充実など
短期的支援が多くなってしまう傾向にあるようです。
CiRAのWEBサイトにある山中教授の「所長挨拶」においても、
「多くの教職員が1年から5年の有期雇用である」ということが大きな課題として挙げられていました。


科学技術研究は日本の国力を維持成長させていく上で重要な位置を占めていますが、
それに対する政府の支援が一過性のものになってしまってはあまり意味がないように思います。
今回の補正予算だけで終わらず、長期的なビジョンに基づいた継続的な支援を期待したいです。



文:鈴木良歩


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