Fly Me to the Sun -佐藤CEOのコラム-

2011.12.01 [第30号]

第18回 - 変化できる老舗はしぶとい

自社のビジネスを継続させていくためには、社会情勢やマーケットの変化に合わせて、自社のビジネスモデルを変革するという発想が大事です(とはいえ、全然関係のない業種、例えば建設業の会社が飲食業をやり出すとか、そういうのはあまり成功しない例が多いようですが)。


帝国データバンクから出された『百年続く企業の条件 老舗は変化を恐れない』 (朝日新書)によりますと、「日本は100年以上存続する企業が2万社弱もある世界に冠たる老舗大国」なのだそうです。
2万社という数字は、日本の企業全体の1.6%にのぼるのだとか。老舗といわれる会社の業種を見ると、清酒製造、酒小売、呉服・服地小売、温泉旅館、醤油醸造などの会社が多いことがわかります。やはり、昔から変わらずに人々から好まれて来たお酒とか温泉関係なんかはいつの時代でも強いようです。


日本の老舗企業

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※ もともとは呉服商であったことがはじまり


しかし、いくら老舗だからといって、ずっと同じ商売を同じような地道なやり方で続けていけば会社が長い間存続できるはずはありません。老舗の酒造メーカーも酒屋さんも温泉旅館も、つぶれるところはつぶれていますから。この本のタイトルにもある「老舗は変化を恐れない」というのは、むしろ、地道でありながらも「変化し続けてこられた会社が長く生き残る」ということなのでしょう。
ただし変化し続けることが必要とはいえ、本業とは全然違う商売を始めるというような転換はダメなのです。ビジネスモデルの変革というのは、いまの商売がうまくいかないから苦し紛れに(?)別の商売を始めるというような、ある意味、安易な考えに基づくものではありません。あくまでメインのビジネスモデル、事業の柱、そもそもの理念やビジョンの基本となるところは変えずに、社会や市場の変化に合わせて柔軟に変えるべきところは変える、という考え方ややり方が大切なようです。


この本には、ある老舗の自動車部品メーカーの例があります。そこは元々大八車の製造からスタートした会社でしたが、その後、トラックボディの架装へと事業を変え、生き残っています。大八車もトラックも「運搬車両」という点では一貫しているわけです。
同様の例では、いまや、世界シェアベースで競合のミシュラン(仏)やグッドイヤー(米)を抜き、世界第1位のタイヤメーカーとなっているブリヂストンが挙げられます。元々の家業は着物や襦袢を縫う仕立屋でしたが、職人的な技能に頼る仕立物屋の将来性に対する疑問などから足袋製造を専業とすることに業容を変え、その後、規格化された足袋を大量生産することに成功、さらに、張り付け式ゴム底足袋(地下足袋)の考案により、ブリヂストンの基礎が築かれました。地下足袋からタイヤへと転進し大きく飛躍できたのは、基礎となるゴム製造の下地があったことに加えて、世の中がクルマ社会へ変わっていくことに対する先見力があったことによるものだと思います。


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