Fly Me to the Sun -佐藤CEOのコラム-

2011.02.01 [第20号]

第8回 - サービスの発明

発明とは、新しいアイデアや理論を具体的なモノとして製品化し、実際に広く世の中の人々の役に立つようにすることです。特許法でも、発明は「自然法則を利用したものであり、産業として実施できるもの」であると規定されています。
したがって、SF的な想像上の産物のようなものは、ファンタジーではあるけれど発明とは呼べません。男のロマンをかきたてる(?)永久機関についても、それがどんなに新しい着想で、どんなに面白いアイデアだとしても、現実的には実施できない(動作しない)ので、発明とは言えません。また、自然法則というより、人の技(わざ)に依拠するような技術、例えば、大根の上手な皮のむき方とかピッチャーの変化球の投げ方とかギターの超絶演奏法などは、発明にはなりません。


ところで、モノ(製品)ではなくいわゆるサービスではあるけれど、これはもう新規な発明と言ってもおかしくないものがあります。それまでにはなかったけれど、それが出現したことで世の中が便利になったというサービスには、例えば宅配便、便利屋、運転代行、食材宅配、介護サービス、コンビニで受けられるサービス全般など、いろいろあります。サービスは、たしかに自然法則を利用したものではないですが、産業として立派に成立していて、世の中の役に立っていますので、それまでになかったような新しいサービスを考えるのは、発明と言ってもよいのではないかと思います。


近年はなんと言ってもインターネットとパソコンの普及を背景に、ソフトウェア技術を最大限に活用したさまざまな新しいサービスが提供されるようになってきました。例えば、Google はウェブの検索サイトを無償で提供していますが、広告業による収入で成り立つビジネスモデルになっています。


特許の要件は、新規性と進歩性のふたつが必要です。サービスに関してもとくに画期的なものに対しては、「ビジネスモデル特許」として、独占権が与えられるようになってきています。


ビジネスモデル特許で有名なのは、アマゾンのいわゆる「1クリック特許」(米国特許 5960411、1997年 9月12日出願)でしょう。これは、インターネットのウェブサイトで書籍、CDなどの商品を販売するにあたり、前に記録されていた各ユーザーごとの請求および出荷に関する情報などをもとに、リピートユーザーが注文ボタンを1度クリックするだけで、購入手続きが完了できるようにするという方法に対して付与された特許です。


1クリック特許
(米国特許 5960411、1997年 9月12日出願)

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【発明の概要】
ユーザーの端末には各商品情報が表示され、ユーザーが購入したい商品をクリックすると、
ユーザーのID(購入者ID)とともに、この商品の注文リクエストがサーバーに送信される。
この要求を受け取ったサーバーは、購入者IDに基づいて購入者データベースから
当該購入者の住所などの情報を取得し、さらにサーバーは、取得した購入者情報に基づき、
当該商品についての発送先、支払いカード番号などを決定し、
ユーザーに問い合わせることなく購入注文を完成させる。
発明のポイントは、ユーザーに確認せず、1クリックで注文が完了する点にある。


追記:
この「1クリック特許」(米国特許 5960411)に関し、amazon.comは
ライバルであるBarnes and Nobleを特許侵害事件として1999年10月に提訴しました。


この続きは、次号に...。


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